今岡直之の「貧困支援最前線からの報告」とは

はじめまして。

このニュースレターでは、NPO法人POSSEで生活相談を担当し、これまで3000件以上の相談に携わってきた筆者が、日々の貧困支援をもとに次のような内容を配信します。

貧困問題の実態と分析

日々筆者が対応している具体的な相談事例を通じて、支援者として当事者に深く関わっているからこそわかる、貧困問題のディテールをルポルタージュ形式で描いていきます。当事者が貧困に苦しむ構造的な背景や、国や自治体の貧困対策における問題点、貧困問題を解決するために何をすべきか、などについて論じていきます。一般的な報道ではわからない、貧困支援の最前線の情報を発信します。

当事者向けの福祉制度の活用ノウハウ

家族と折り合いが悪く実家を出たい、病気や失業により仕事ができず収入がない、家賃滞納で住居を失ってしまった、など生活困窮に陥った場合に使える制度を紹介します。ネット上には、不正確な情報や、また正確であっても具体的に活用しづらい情報が多いのが現状です。できるだけ具体例やQ&Aを交え、かみ砕いて制度を紹介していきます。

貧困支援・運動のあり方を考察

上記の分析を踏まえ、貧困支援・運動のあり方を批判的に考察していきます。これまで行われてきた貧困支援・運動の意義と課題を検討しつつ、その新しい形態を模索していきます。このニュースレターを通じて、全国の実践家や研究者の方と議論・交流できると嬉しく思います。

こんな方におすすめ

  • 貧困問題に関心があり、実態や背景について知りたい方。

  • 貧困支援・運動に関わりたい方。

  • 生活に困っており、使える制度について知りたい方。

  • 貧困問題を報道したいメディア関係者の方。

ニュースレターを始めた理由

私は2006年からNPO法人POSSEに関わり、2012年から生活相談を担当しています。相談件数は年間300〜400件ですので、これまで3000件以上の相談に携わってきたことになります。電話・メール・LINEで相談を受けた後、生活保護の申請手続きのサポートのため、各地の役所の窓口に同行しています。事務所のある東京近郊はもとより、北関東まで赴くこともあります(なお、一度だけ三重県まで行ったこともあります)。

私が大学に入学した2000年代半ばにおいて、日本の「貧困」はほとんど社会問題になっていませんでした。「貧困」と言えば、途上国の貧困がもっぱら関心の的でした。しかし、2008年末のリーマンショックと「年越し派遣村」により、ようやく対策の必要性が認識されるようになりました。近年の新型コロナとインフレにより「貧困」は連日報道されるようになり、「日常的な風景」となったように思われます。

ただし、これは悪い意味で「慣れ」を生んでしまっているのかもしれません。コロナという「非日常」において可視化された貧困は、コロナの収束と対策の緩和により、日常に埋没しつつあります。目下ではインフレが進行していますが、多くの人たちは日々のやりくりによって「解決」してしまっています。もちろん、実際には解決できないからこそ、「闇バイト」などの犯罪も横行するわけですが。

こうした状況の中、改めて「貧困」の実態を可視化し、社会的に解決しなければならないのだということを訴えていく必要があると思います。貧困が個人的欠陥ではなく、いかにして社会的に生み出されているのか。国や自治体は貧困対策を講じているはずなのに、どうして貧困はなくならないのか。貧困をなくすためには何をすべきかのか。

日本の「貧困」の実態をお伝えすることで、貧困問題への関心を高める一助となり、一緒に取り組む仲間が増えていくことを願っています。

筆者について

1988年鳥取県生まれ。社会福祉士。東京大学教育学部卒業、一橋大学社会学研究科修士課程修了。

これまで寄稿した論考:「賃労働と家族からの自由を求めてー若者の新しい生存戦略ー」(森達也編著『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2022年後半』)、「若者の貧困と生存戦略の変容」「生活保護はなぜ忌避されるのかー現代に生き残る劣等処遇ー」「コロナ禍で変化する「貧困のかたち」と生活保護改革」(いずれも雑誌『POSSE』)

有料版について

このニュースレターの有料版では、スレッド機能を利用して筆者と読者の皆さんが議論できます。特に、「このケースにはどう支援したらいいか」というミクロなものから、「今後の貧困支援・運動はどうあるべきか」といった大きなビジョンまで、実践家や研究者の皆さんと議論したいと考えています。

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